エベレスト登頂記 特集記事-SPECIAL-

2019.03.24

【エベレスト登山】Day27 高度順応最終日。ローツェフェイスに向けて出発。

朝6時半に朝食を食べ、7時にローツェフェイスに向けて出発する。

キャンプ2を出て30分程の地点から見るローツェフェイス

今日は高度順応に加えて、サミットプッシュに向けてキャンプ2に置いていく装備のチェックという目的もあるので、気温が高い中でもダウンスーツを着込んでの行軍。

朝7時の6,300m付近の気温はマイナス5〜15度程度で風が弱い。それだとダウンスーツを着るには余りにも暑い。サミットスーツの中はベースレイヤー(肌着)のみにしていましがそれでも暑く、結局、後半はサミットスーツを脱いでベースレイヤー1枚で歩きました。

キャンプ2からローツェフェイスの入口まではおよそ2時間弱で到着。キャンプ2に到着した頃と比べると高度順応が進んだらしく大分楽に感じたましたが、それでもやはり呼吸は苦しかったです。

当初はローツェフェイスに登る計画でしたが、ローツェフェイスのフィックスロープを登っている他隊が遅すぎ・・・。30秒くらい動画を撮影しても1-2歩くらいしか進まない。近くに行ってみると、ロープのアンカーが外れていてかなり横に振られている様子。安全性も考慮して、今回の高度順応ではローツェフェイスに取り付かずに下山することにしました。

自分としてはキャンプ3のある7,300mくらいまで順応しておきたかったのでとても残念。サミットプッシュでは、太陽が反射して光る急な氷壁を未体験の7,300mまで無酸素で登らないといけない。僕はエベレスト登山を仰々しく表現することは嫌いなのですが、ほぼ平らな緩斜面でさえものすごくキツいのにこれ登れるのか・・・? 流石にめちゃくちゃきつそうだな・・・。というのが感想。
当日、頭痛で登れないなんてことがないよう祈ります。

下山後はみんなで僕のサミットスーツが2ピースであることについての議論。基本的にエベレストではほぼ全員がノースフェイスの赤か黄色の1ピースのスーツ(ヒマラヤンスーツ)を着ていて、2ピースなのは僕くらいしかいない。2ピースでは寒くて登れないというのだが、そもそもパンツはビブになっていてジャケットとビブの間はハーネスをつければ空気はシャットアウト出来ると思うし、三浦雄一郎さんのエベレスト登山のために開発されたものだから問題ないと思うのだが・・・。

僕が着ていたサミットスーツ

デナリなどにも登頂しているスヴァイは、それはどこで売ってるんだ!俺もそれがいい!とても羨ましがっていた。
実際のところ2ピースのダウンスーツというのはどうなんだろう・・・?

自分としては色々とリサーチをしてメリットとデメリットを理解した上で選んでいるので全く気にしてないのだが、メンバーがそのことで騒ぎ立てるのがちょっと煩わしいし、そもそもダウンスーツを着てレイヤリングで体温調節もできず汗だくになっている人達に服装についてどうこう言われたくないぞ・・・。

ということで、テントに退避してデポする荷物とベースキャンプに下ろす荷物の仕分けや整理をする。

モンベルの超極厚メリノのベースレイヤーはやはり暑い。今日は天気も良く風もなかったので暑すぎてインサレーションも脱いでベースレイヤー一枚で歩いていた。メリノのミドルレイヤー+インサレーション+サミットスーツという組み合わせを着るタイミングは来るのだろうか・・・?
サミットスーツ自体、-20度以下が想定されるサミットプッシュの時くらいで良さそう。

上半身も超極厚メリノでジャケットを腰に巻いて調整。メリノのミドルレイヤーにインサレーション、ライトダウンまで控えてるけど使う機会はあるのか、、、? 装備の詳細は別途記事にして紹介します。

サミットプッシュを想定したレイヤリング

試しにゴーグルで歩いてみたけど、やはりいつも通り汗を掻くと曇ってしまう。バックカントリーでもそうだけど、よほど風が強くない限りはサングラスの方が快適に歩けそうですね。そうなると、レンズの脇から風がガンガン入ってくるオークリーのグラスではなく、ジュルボのエクスプローラーあたりのサングラスが欲しかったな。

顔周りはファイントレックのバラクラバビーニーで間違い無いと思う。バックカントリーのためにバラクラバも結構色々使ってきたけど、一番呼吸がしやすいのがバラクラバビーニーだと思うし、ゴーグルの結露も少ない。

という感じで、サミットプッシュ用の装備類はキャンプ2にデポしていくので試しに色々使ってみた。ちょっと天候が良すぎて判断出来ないのが残念・・・。

最後に食事について。キャンプ2はダイニングテントなどもあるのですが、食事が本当にキツイ。パッサパサの食パンがこれほどまでキツイとは思わなかったし、いい加減マサラ味はうんざりだしオートミールは拷問としか思えない。
マサラ味に慣れていないカナダ人の2人と自分はかなり苦労している。

食パンをチャイ(マサラティー/甘いミルクティーみたいなもの)に浸したものと、卵料理でカロリーを摂取する。

「低酸素状態の人は嫌いなものを食べるよりも食べないという選択をする。」というのは本当にその通りで、大量にカロリーを取らなければならない割にそこまで空腹感がないので、美味しくないなら食べなくていいや。・・・となってしまう。

しかし、6,300m地点での僕の心拍数は常に120前後。心拍数120はもっとも体脂肪が燃えやすい心拍数と言われていて、カロリーを摂取し続けないとどんどん筋肉が落ちてしまう。トレーニングで体脂肪率10%程度まで落としていたので、この時点で体はガリガリ状態。なんとしてもカロリーを取らなければならない。

もっと日本食のデポを持ってくるべきでした・・・。ベースキャンプに置いてきた、「醤油」「ごはんですよ」「ふりかけ」があれば大分楽になるのに・・・。

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