エベレスト登頂記 特集記事-SPECIAL-

2018.05.31

【エベレスト登山】Day1 カトマンズ到着

成都国際空港からトリブバン国際空港へ

中国の成都の空港でトランジット。深夜に到着し翌朝のチェックインとなるためカフェで夜を明かし、6時にチェックインをする。

ラウンジに行くと便が1時間半遅れますとのこと。カトマンズ行きの飛行機が遅れるのはいつものこと。シャワーはないそうなのでトイレで体を拭いて着替える。

飛行機に乗り込むと、自分の席に座っている人が、、、 相手のチケットも自分と同じL12になっている、、、??

CAに確認すると、「お客様の席はこちらです」と案内されたのがまさかのビジネスクラス。座席が広くリクライニングがすごい。ほぼ水平だ。座るとタオルを渡される。食事もコースメニューみたいに説明される。

飲み物はいつも通りビールをオーダーしたけど、せっかくならシャンパンとかにすればよかった。料理はメニュー表があってかなり期待したけどエコノミーよりもちょっとだけ豪華というレベル。割と普通の弁当型の機内食だった。

2時間ほどフライトをすると、ヒマラヤ山脈のお出迎え。もの凄いインパクト! さすが、「神々の座」と呼ばれるだけのことはある。

少しウトウトしていると、座席の列に入ってきて自分の足の間で写真を撮ってる中国人のおばちゃんがいるよ、、、? ビジネスクラスの座席は少し広いので前を通ることは出来るんだけど、流石にそれはないだろうと少し離れた瞬間に足を組む。ふふふ、これでもう入る隙間はないぜ。と思ってたら普通に足を跨いで写真撮り始めた。ちょっと、どう反応したら良いのか分からないので本格的に寝たふりをしてやり過ごす。流石にCAに注意して欲しかったな。

山々の形や配置から知っている山を探す。「うお!エベレストや!」と3回くらい衝撃を受けたが、似たようなのが多すぎて何も分からない。そもそも自分がチベットのどこを飛んでるかも分からないので見つかるはずがない。

およそ3時間ほどのフライトでようやくカトマンズに到着。中国を観光してきたら日本を出て3日目にしてようやくの到着となりました。

カトマンズに到着。心によぎる個人手配の不安。

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タラップを降りると、道路を渡ってすぐの所に空港の入口があったので道を横断しようとすると、注意されてバスに誘導された。あれ、違う入口なのかと思って指示に従ったが、そのバスは乗客が乗込み一杯になるのを待ってから出発し、やはり先ほどの入口まで道路の反対側に50メートルほど移動して停車。いきなり意味不明。ちなみに下の写真が飛行機を降りてすぐで、その目の前の入口までバスで移動。

ネパールの入国の流れは前回も経験していたのでスムーズだったが。その場で機械で申請書類を作成する方法と紙で記入して作成する方法(この場合は事前に写真の用意が必要)があって、列がたくさんできているので初めての人は結構混乱している。自分は前回も経験していたので今回は迷うことなく入国審査が完了した。

3ヶ月ビザを取得する人はほとんどいないらしく、誰も並んでいない90day’sのカウンターに向かう。イミグレでの質問は雑談形式だった。

「おやおや、日本じゃねーか。っはっはっは。 何しにきたんだ? どっかの山行くのか? なに、エベレスト!? すげーな! ホテルどこ?分からない? まぁいいや。 いつルクラ行くの? 晴れるといいね。 じゃーな、頑張れよ!」

そんな感じであっさり通過。彼の業務によってどんな付加価値が生まれるのかことさら疑問だ。

手荷物の受け取りレーンにはカートが全然なかったので仕方なく約60kgの巨大な荷物を全部背負って歩いて行ると、後ろにいた中国人のおばちゃんが荷物をつついたり下から持ち上げたりしてくる。なんやねん、と顔をみると、普通に中国語で何か聞かれる。「ごめんね。中国語話せないよー」と言ってもお構いなしで、また質問をしてくる。しかも、俺の答えを待ってる。いやいや、俺のターンじゃねーから・・・。と思いつつ、「クライミング、クライミング」と答えると、「?」みたいな目で顔を見てくる。いや、絶対俺のせいじゃないから。

中国人のおばちゃんの大阪感ってすごいと思った。

外に出てふと気づく。あれ、空港のWifi切れてるけど、どうやって迎えの人と会うんだ。探してもそれっぽい人も自分の名前が書かれた紙を持ってる人も見つからない。本当に迎えに来てくれるのか。もしかして盛大な詐欺だったらどうしよう。すでにエクスペディションの70%は支払い済なので、ここで音信不通になっても対処のしようがない。一瞬、そんな不安が頭をよぎる。スリランカとかミャンマーとかでもそうだったけど、途上国で個人手配をする怖さってこういうときにでてくる。

例えば、ネパールって月1万くらいで家族がなんとか暮らせる国だから、今回のお金を個人で持ち逃げしたら30年以上は暮らせるもんね。

とはいえジタバタしても仕方ないので30分ほどキョロキョロしながら探していると、、、

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ようやく見つかった!! TAKESHI の紙持った人がいた! 数百万の詐欺疑惑にドキドキしながらの恐怖の30分でした。案内人のルパック。 到着早々、歓迎のプレゼントにカタをいただく。カタは相手の幸運を祈る布でシェルパ族の文化?かなと思っている。お返しに白い恋人を渡す。

半年ぶりの英会話だったので多少不安はあったけど、ちょいちょい単語が出てこないくらいで特に問題なく会話できた。この言語問題というのもネパールに到着するまではかなり不安に感じていた問題だった。なにせ、映画エベレストの英会話はほぼ聞き取れないので、命がかかった場面で何も聞き取れなかったらどうしよう。酸素器具の使い方とかで勘違いしたらどうしよう。とか思っていたが、なんとかなりそうだ。ホテルに送ってもらうと、中庭が綺麗でリラックスした雰囲気の良いホテル!部屋もまぁまぁ綺麗。トイレは便器とシャワーが隣り合ってるパターンでバスタブはないけど、これは仕方ない。ネパールとしては3.5つ星ホテルといったところだろう。

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エクスペディションの代表、シェルパリーダーとのミーティング

すぐにシャワーを浴びて、今回の登山隊を組織するエクスペディション会社の代表とサーダー(シェルパリーダー)さんとの顔合わせ。30分くらい注意事項などを英語でブワーッと話されるが8割くらいは理解できたと思う。過去の登山歴やトレーニングについてのインタビューを受けた後、エベレスト登山における注意事項や細かい条件についての説明を受ける。

今回は大きな隊で、エベレスト5名とローツェ5名の計10名のクライアントを18名のシェルパやコック、キャンプスタッフが支える。

自分を含めた3名のメンバーが先行して進むので全員揃うのはベースキャンプになるらしい。また、元々はアイランドピークに登る予定だったが他のメンバーの動向もあってロブチェピークに変更して欲しいとのこと。より難易度が高いと言われるロブチェピークの方が良い練習になると思ったので快諾。奇しくも前回、エベレストでお会いして新潟にも遊びに行った大地さんと同じ山に登ることになる。楽しみ。

また、個人ガイドのミンマは34歳で年齢も近く、エベレスト登頂7回の強者。見た目もしっかりしていて、話し方も丁寧なのでとても頼りになりそう。

実は、後々判明することになるのだが、今回のエクスペディションの参加者のうち、4名はミンマ目当て、3人は別のフルバという別のシェルパ目当てでこの会社を決めたようだ。エベレスト登山においては、会社選びよりも遙かにシェルパ選びが大切ということを後々に思い知ることになる。この辺のエベレストに登頂するためのノウハウ的なものは、また別の記事にまとめようと思うが、直接何か聞きたいことがありましたら、facebookなりブログの問い合わせページから質問してください。

一通りエクスペディションの説明を終え、詳細条件に合意したあとは、一旦解散をしてミンマによる装備チェック。

事前にエージェンシーに確認した内容と異なる点がかなりたくさんあり、持ってきたものの使わないものがとても多かった。10kg分くらい不要と言われたかな。さらに事前に何度も手持ちのもので大丈夫か確認したにも関わらず巨大なシュラフを買う羽目に。偽物や中古もたくさん流通しているが、流石に命を左右する装備ではお金を惜しみたくないということで Northfaceの正規店で購入した。8万円也。

あと、なぜか「靴下があと7足必要だ」ということで靴下も買った。ちなみに靴下は一足150円くらいで割としっかりしたものが買える。

なお、この8万円の寝袋も7足の靴下も必要ないということは、この時は知るよしもない。なんだろうね、本当にこういう無駄に出て行くお金というのはアメリカとかニュージランドとか日本の高級エクスペディションでは発生しないのかな?

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あとはシムを買ってドルを現地のお金に替えて買い物終了。エクスペディションではロッジ代もご飯代も含まれており、特別に何か買い物をしない限りお金はかからないので300$で良いと言われたが、お土産のことなどを考えるとどうせ帰りにカトマンズで使えるので、余裕を持って500$ほど多めに替えた。これも後々になって判明したことだが、インターネット接続のためのコストとサミットプッシュ前に少し下山をしてリフレッシュする際の宿泊費や食費、さらにカトマンズに戻ってからの費用が含まれていないため、最終的には500$では足りず追加で500$ほど必要になった。(合計10万円くらい現金を使ったということ)

買い物を終えて、一休みしたらルパックが歓迎ディナーに誘ってくれて日本食レストランに行った。まだこれっぽっちも恋しくはなってないんだけど、なかなか美味しかった。あと、やっぱりエベレストビールは美味しい。ネパール人はお酒をあまり飲まない人も多いらしくほぼ一人で中瓶2本を空けて酔っ払った。ほろ酔いでホテルに戻るとそのままバタンキュー。

カトマンズ初日は、不安に感じることもとても多かったし追加出費も大きかったが、まぁまぁ全体的にスムーズに進んで何より。正直な話、(今さら何を言ってるんだと思われるかもしれないけど、、、)エクスペディションに参加できることが確定したということが一番安心した。

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