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①ヒマラヤってどんな場所?
②ヒマラヤトレッキングの魅力と特徴
③ヒマラヤトレッキングのシーズン
ヒマラヤトレッキング基本編②:ヒマラヤ主要ルートの概要まとめ
ヒマラヤトレッキング基本編③:ヒマラヤトレッキングの装備と持ち物
ヒマラヤは、インド亜大陸とユーラシア大陸の衝突による隆起で形成された地球上で最も標高の高い山脈地帯である。広義のヒマラヤは、中国とパキスタン国境にあるカラコルム山脈なども含めるため、地球上に存在する14座の8,000m峰ばかりか、100座以上存在すると言われる7,000峰のすべてがヒマラヤに属している。
つまり、この地球で大きな山を見たいと思ったらヒマラヤに行くしかない。とも言えるほどヒマラヤには巨大な山々が聳えている。
ちなみに、インド亜大陸の北上は続いているため、世界第1位のエベレスト(8,848m)も含めてヒマラヤ山脈の成長も続いているというのは有名な話だが、造山活動のための水平移動は1年間で5mm程度なので私たちが生きている間に標高が変わるということは起こりそうにない。
ヒマラヤという名前はサンスクリット語の「雪(ヒマ)」+「住みか(アーラヤ)」から来ている。
ヒマラヤの特徴①:山が急峻で大きい
上でも書いたように、ヒマラヤの山はとにかくスケールが大きい。私は撮影のために海外の様々な山域を歩いているが、どこと比べても山のインパクトについては抜きん出ている。上の写真も下の方をよく見ると人が豆粒のように見える。
そして、マッターホルンやグランドジョラス、アルパマヨのような、他のエリアにおいては、その地域を代表するような、そんな凄まじいインパクトのある山が、右にも左にも正面にも聳えている。
壁の大きさもレベルが違う。ヨーロッパ最大のアイガー北壁は1,800mもの高さがあるが、ヒマラヤ西部にあり世界最大の岩壁である、ナンガパルバット南壁は、なんと4,800m。漫画「岳」で、主人公が最後に自分の力を試すと言って挑戦したローツェ南壁は3,300m。こちらは、トレッキングでも行ける「チュクンリ」という展望台から間近に見られるが、思わず笑ってしまうくらいデカく、もはや視界に納まらない。
ヒマラヤの特徴②:雨季と乾季が分かれている
山を歩く際、なんと言っても大切なのは天気である。もちろん、雨の中での楽しみもあるが、特に初めて訪れる場所で絶景を楽しみたい時は晴天の方が良いに違いない。極寒というイメージのあるヒマラヤだが、実はネパールは亜熱帯に属しており、モンスーンの影響を強く受けるため、雨季と乾季がハッキリと分かれている。雨季は毎日のように雨が降るが、乾季の晴天率は非常に高い。
特に乾季における午前中の晴天率は80%以上となっており、ほぼ毎日、晴天の中でヒマラヤの山々の景色が楽しめるのだ。さらに、雨が強く降った翌日は晴れることが多いため、エベレストが見えるエリアに2〜3日も滞在すれば、エベレストが見られない可能性は非常に低い。これは時間の限られた旅行者にとって非常に魅力的な条件だと思う。天候についての詳しい説明は後述する。
ヒマラヤの特徴③:山歩きではなく街道歩き
「街道歩き」というのは、「山に登るための登山道」や「絶景や自然を楽しむための観光道」ではなく、チベット方面や近隣の村々をつなぐ「交易のための生活道」を歩くということ。そのため、一般的なトレッキングルートとは異なるメリットとデメリットがある。
1つ目のメリットとして、道が広く安定している。交易においてはカッツァル(馬とロバの交雑種)やヤク(ヒマラヤの牛)の一団が安定して移動する必要があるため、危険箇所はほとんどない(街道を離れた場所には、たまに地滑りエリアがあるので注意)。体力は求められるが、登山技術としては超初級で、登山をしたことがない方でも全く問題ない。
2つ目に、街道歩きのため、暮らしや文化との距離が近い。海外の多くのトレッキングルートは人里から離れた場所にあるが、ヒマラヤでは、暮らしそのものがそこにある。苦しい急坂をひぃひぃと登っている横を、子供たちが教科書片手にテスト勉強をしながら悠々と抜き去っていく。昔ながらの農法で作物を育てる人がいて、ロッジではコロッケのオーダーを受けた後に芋を掘りにいく。道中に学校が点在し、子供たちの無邪気な笑顔が見られる。これも他にはないヒマラヤトレッキングの大きな魅力である。
一方で、街道歩き最大のデメリットは、登ることではなく水平移動を目的としているため、マップを見ても難易度が分かりづらい点である。例えば、エベレスト街道の出発地ルクラから、サガルマータ国立公園の入口であるモンジョまでは、標高差としては-5mであるが、累積標高(登った高さの合計)は1,000m程度。これは小さなアップダウンの連続であり、地図の等高線では予想がつかないから厄介である。インターネット上の記事では標高差で記載していることが多いため、是非、注意して頂きたい。
ヒマラヤの魅力の中でも書いたが、ネパールの気候は雨季と乾季が分かれている。切り替わり時期の天候やタイミングは年によって曖昧だが、おおよそ6月1週〜9月3週が雨季で、それ以外が乾季となる。また、12月〜2月は気温が大きく下がることを考えると、トレッキングにベストな時期は3〜5月の春シーズンと10月〜11月の秋シーズンといえる(個人的には、十分な防寒さえすれば、人の少ない12〜2月も大好きだが)。
春と秋の違いついて説明しよう。エベレスト登山隊はモンスーンと偏西風の押し合いで風が弱まるプレモンスーン期(5月2〜3週)の登頂を狙うため、エベレストベースキャンプ(EBC)は毎年4月10日頃〜5月20日頃のみ設営される。登山隊の時期には1000人以上が滞在できる巨大なキャンプサイトとなるため、そこに2〜3日滞在して登山隊の暮らしを体験したり、アイスフォールの入口を散策したりも出来るが、それ以外の時期はテントが一張りもなく、「Everest Base Camp」と書かれた岩の前で写真を撮って帰ってくることになる。
一方の秋シーズンは、春と比較して晴天が午後まで続く可能性が15%程度高い。特にエベレスト街道やランタン谷では、山を東側に見ることが多いので、夕焼けに照らされたヒマラヤを見られる可能性がより高くなるのである。さらに、ヒマラヤトレッキングで大きなリスク要因である「天候不順による国内線欠航」のリスクも抑えられるため、フライト予備日を少なめに設定できるのも有難い。
フラワートレッキングを楽しみたい方にはとっては、7月〜8月初旬が一番おすすめの時期であるが、ブルーポピー(青いケシの花)などは、早ければ6月中旬でも見られる。ヒマラヤのルートはどこも高低差が大きいため、ルート上の気温差によって花の見られるシーズンは広い。例えば、ネパールの国花であるシャクナゲは、エベレスト街道スタート地点のルクラ(2,840m)では4月初旬から咲き始めるが、森林限界のパンボチェ(4,000m)では5月後半が見頃を迎える。
どうしても旅行期間が雨季になってしまうという方には、アンナプルナ外周やムスタン方面がおすすめである。ヒマラヤの北部は南風であるモンスーンがヒマラヤ山脈によって遮られるため、雨季でも比較的天候が安定している。
最後に、6000m代後半以上のピークハントを希望する方は、その山によって登山隊が編成される時期がある程度決まっており、その時期を外すと難易度が極めて高くなるため、注意が必要である。
ヒマラヤトレッキング基本編②:ヒマラヤ主要ルートの概要まとめ
ヒマラヤトレッキング基本編③:ヒマラヤトレッキングの装備と持ち物