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ヒマラヤトレッキング基本編② 主要トレッキングルートまとめ

ヒマラヤトレッキング基本編② 主要トレッキングルートまとめ

目次

① ヒマラヤトレッキング(ネパール)の全体像

② 各トレッキングルートの概要

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ヒマラヤトレッキング基本編③ :ヒマラヤトレッキングの準備・持ち物・体力

ヒマラヤトレッキング(ネパール)エリアの全体像

まず、代表的なネパールヒマラヤトレッキングのエリアとしては、下記の3つがある。国内の旅行会社のツアーなどを見ても、ほとんどがこの3つ(特に1と2)に集中している。

1.世界最高峰エベレストのあるエベレストエリア(ソルクンブ、サガルマータ国立公園)

2.非常に大きな山塊でルートバリエーションも豊富なアンナプルナエリア(アンナプルナ自然保護区)

3.ヒマラヤ探検家のティルマンが「世界で最も美しい谷」と称したことで有名なランタン谷

・観光ツアーで人気、カトマンズから日帰りで歩くことができるカトマンズリム(ナガルコット)

・同じく観光ツアーで人気、ポカラから日帰りで歩くことができるサランコット

・日本人が初登頂した唯一の8,000m峰であるマナスルエリア

・エベレストエリアの西側、花の名所としても知られるロールワリン

・禁断の王国と呼ばれ90年代まで外国人の入域を拒んだムスタン王国

・テレビ朝日の長期取材で取り上げられているドルポ

・ネパールの最も西にあるカンチェンジュンガエリア

各トレッキングルートの概要

① エベレストエリア

世界最高峰エベレストを仰ぐ登山ファン憧れのエリア。世界で最もスリリングな空港「テンジン・ヒラリー空港」のあるルクラを起点にエベレストベースキャンプやエベレストの展望地を回るルート。新しいロッジも多いことから水栓トイレやホットシャワーの設備があり、清潔で快適に過ごすことができる。

ルクラからクンブエリア最大の街ナムチェバザールへ行き、そこからエベレスト街道と呼ばれるエベレストベースキャンプ(EBC)方面、クンブエリアのリゾート地であるゴーキョ方面、ロールワリン方面の山々が見られるレンジョ方面に分岐しており、特にEBCルートとゴーキョルートの2つのルートが人気である。

EBCルート(エベレスト街道)はエベレストに最も近い展望台カラパタール、アマダブラム、カンテガ、タムセルク、コンデリといった数々の秀峰が織りなす変化に富んだ絶景が魅力。毎日が新しい絶景との出会いで感動の連続という点ではこのルートに勝るものはない。展望ポイントについては「エベレスト街道」の詳細記事で紹介するが、個人的には、はじめてのヒマラヤ歩きで日数に余裕がある方には、こちらをオススメする。

ゴーキョルートは、谷間の道をひたすら北上して歩くため、エベレスト街道ほどの変化はないが、ゴール地点からの眺望としてはややゴーキョが優勢。ゴーキョピークから見られる、エベレスト、ローツェ、チョ・オユー、マカルーという4つの8,000m峰が同時に眺められる大パノラマは素晴らしい。そしてゴーキョ湖自体が非常に美しく、そこに映るチョ・オユーやフェリラプチャも圧巻。また、知名度はあまり高くないが、チョ・オユーBC方面に歩くと、エベレストの眺望としてはナンバー1とも言われる5th レイクもある(実際のナンバー1は4thレイクの近くにあるスクランブルピークだと思う)。

ちなみに、両方を歩いたお客様に、カラパタールとゴーキョピークはどちらが好きでしたか?と質問すると、4割がカラパタール、6割がゴーキョピークと答える。

「EBC方面なのかゴーキョ方面なのか、悩ましくて決められない・・・。」そんな方は、是非、両方歩いて頂きたい。

一日9時間程度歩くことが出来れば途中のチョラパスを越えて、エベレスト方面からゴーキョ方面へ移動することが出来る。カラパタールとゴーキョピーク両方の景色が楽しめるばかりか、往路と復路で全く違った景色を楽しめるので、一石三鳥だ。ゴーキョからの下山ルートも非常に素晴らしく、同じルートを降りるよりもはるかに楽しめる。チョラパスはこのエリアで最大の難所としても知られるが、体力が不安なヘリコプターで移動することもできる。費用は高いが、2倍の楽しみが得られると考えればお買い得とも言える。

その他、ナムチェバザールの後ろにあるシャンボチェの丘という展望地にあるホテルエベレストビューへ行くプランは、比較的少ない日数でエベレストが見られるため国内旅行会社のツアーとしては最も多い。また、難易度は少し高くなるが、コンマラパス、チョラパス、レンジョパスという3つの峠を越える3パストレッキング、カラ・パタール、チュクンリ、ゴーキョリ という3つのトレッキングピークに登る3ピークなどもおすすめ。

<主なルート>

<料金は2名で旅行手配をした際の概算費用>

② アンナプルナエリア(アンナプルナ自然保護区)

エベレスト街道に次いで人気の高いアンナプルナ保護区。アンナプルナ山群を囲んでルートが張り巡らされているため、気候・地形・文化の多様性に富んでいるのが特徴。ネパール第二の都市であるポカラを起点とするルートが多く、近年は道路の整備が急速に進んでおり、これまでの半分以下の日数で歩けるルートも多い。

エベレスト方面と比較して標高が低いため勘違いされている方が多いが、高山病リスクが低く、高山病対策(一日の登高制限や順応のための休息日)がない分、体力的にはエベレスト方面よりもやや厳しいともいえる。

ルートとしては、アンナプルナ山群の中に入っていくアンナプルナベースキャンプ(アンナプルナ内院/アンナプルナサンクチュアリ/ABC)ルート、山群の東から北を巡るアンナプルナ外周(アンナプルナサーキット)、ABCルートの谷の東側の尾根を歩くマウディルート、山群の西を歩くジョムソン街道、その他、山群の南西にあるビュースポットとしてプーンヒル、ムルダイ、コプラダンダなどがある。

アンナプルナ内院ルートのゴール地点であるアンナプルナベースキャンプでは、7~8,000m峰に囲まれた360度の絶景が楽しめる。「超巨大な涸沢カール」と言えばイメージが持ちやすいだろうか。ルートとしては、狭い谷を歩く上に樹林帯が多いため、眺望が開けるのはマチャプチャレBCより上ということで、ここまでは我慢の行程となる。

ABCルートの東側の尾根を歩くマウディルートは、ポカラを出発した初日に稜線に出ることが出来、その後はひたすら素晴らしい尾根歩きが続く上、マチャプチャレやヒウンチュリが間近に見られて、しかも4日程度で踏破可能なのでとてもオススメ。ABCルートとスタートが近く、徒歩4時間程度で移動可能なので、ABCとセットで歩くことも出来る。モディコーラ(川)に沿ってほぼ同じラインを歩くことにはなるが、見られる景色は全く違うので問題ない。

アンナプルナ外周は、アンナプルナの西側から北側を巡る、非常に変化に富んだルートとなっている。マナスル方面の景色からアンナプルナⅡ・Ⅳ、ガンガプルナ、チュル山群、ティリチョなど、様々な山の景色が楽しめる。また、谷が深くないため、眺望が開けた場所も多い。さらに特筆すべき点として、雨期に雨を降らすモンスーンがアンナプルナを越えられないため、北側は乾燥地帯となっているのである。その代表例がムスタン王国というわけだが、他の主要なトレッキングルートとは、景観も建物も全く異なる。モンスーンの影響を受けにくいということで、仕事の休暇が雨期にしか取得が出来ないという方にもオススメ。

かなり主観的な意見となるが。私はこのルートが最も好きである。私だけでなく、世界中を歩いた友人やヒマラヤの現地ガイドの仲間でも、アンナプルナ外周が一番好きという人は多い。ほんの数年前まで、アンナプルナ外周は非常に長い距離を歩かねばならず、日数的にも踏破が難しいルートとされていたが、現在は道路の伸長により、秘境と言われたマナンにもジープで訪れることが出来る(その手間にも素晴らしい展望が多いので、実際にはやらないが)。唯一、非常に残念な点としては、道路ともに電線が伸び、多くのルートの脇に電柱が続いていることだろう。写真を撮るたびに山に電線がかかってしまう。

その他、気軽にアプローチできることで人気のプーンヒルは、1日に標高差1,000m程度をピストンする体力があれば1泊2日で往復可能で、マチャプチャレ(フィッシュテイル)、アンナプルナ山群、ダウラギリの素晴らしい日の出を拝むことが出来るオススメのスポットだ。

他にも紹介しきれないスポットやカスタムルートが多数あるのがアンナプルナ山群の特徴。詳しくはプラン事例の方をチェックして頂きたい。

③ランタン谷

最後にランタン谷ルートについて紹介する。ランタン谷はカトマンズから来たへ車で約6時間ほどのシャブルベシという村を起点としている。車のみでアプローチ出来るため気軽とも言えるが、交通手段が車のみなので時間はかかる。イギリス人の著名なヒマラヤ探検家ティルマンが「世界で最も美しい谷のひとつ」と紹介したことで注目を集めた。

ランタン谷は他のトレッキングエリアと比べて緑が濃く、植物が豊富なため、花の谷と呼ばれることもあるほど。雨期のシーズンオフになると、ヒマラヤに住むシェルパさん達が花を見にくるほど人気のルートなので、花が好きな方には最もオススメしたい。

また、国内旅行会社のツアーとしては最奥の村の近くにあるキャンジンリに登頂して下山をする行程が多いが、ランタン谷はキャンジンの奥にある、ツェルゴリというピークや、ランシサカルカに向かう道程、そしてランシサカルカ周辺の景色こそ素晴らしい。そもそも、探検家のティルマンが称賛した景色はランシサカルカ周辺の谷間のことなので、ランタン谷を歩く際は、是非、ランシサカルカ周辺でのキャンプトレッキングをオススメしたい。ヨーロッパ系のグループのほとんどはランシサカルカでのキャンピングを楽しんでいる。

日数に余裕のある方は、シャブルベシとバンブーの間にあるトゥロシャブルから分岐するゴサイクンド湖へのトレッキングも追加4日程度で訪れることも出来る。

ここでは主要3エリアの概要について紹介をしたが、その他のエリアや各エリアのトレッキングルートの詳細についてはプラン事例にてご覧頂きたい。

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