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ヒマラヤトレッキングルート解説① エベレスト街道(ゴーキョ、レンジョ)

ヒマラヤトレッキングルート解説① エベレスト街道(ゴーキョ、レンジョ)

目次

①エベレストエリアMAP
②エベレストエリアの特徴
③エベレストエリアのルート

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エベレストエリアMAP



エベレストエリアの特徴

世界最高峰エベレストを仰ぐ登山ファン憧れのエリア。世界で最もスリリングな空港「テンジン・ヒラリー空港」のあるルクラを起点に、エベレストベースキャンプやカラパタール、ゴーキョ、レンジョパスといったエベレストの展望地を回るルートです。他のエリアと比較した場合の特徴は大きく3点。

① 標高が高い
アンナプルナ方面はトレッキングのスタート地点が1500m前後であるのに対して、エベレスト街道のスタート地点であるルクラの標高は2,840m。さらに、トレッキングのゴール地点の標高で比較しても、アンナプルナベースキャンプの標高が4,200mに対して、エベレスト街道のカラパタールの標高は5,550mとなります。
標高が高いメリットとしては、行程の中で森林限界(4,000m)を越えて歩く日が多くなるため、より拓けた眺望の中を歩くことが出来ます。また、自らの目線が高い分、6,000m峰や7,000m峰などをより間近に感じることも大きなメリットとなります。日本の山でも高い山に登った方が周りの山々の景色がより楽しめるのと同じですね。
逆に標高が高いことのデメリットとしては、気温が低いことと高山病の2点が挙げられます。他のエリアよりも1,000m程度標高が高いため、気温に換算すると約6.6度の気温差となります。これは東京と東北の仙台市の気温差よりも大きな差となりますので、体感としては決して小さな違いではありません。また、高山病自体も大きなリスクですが、それ以上に高度順応のために旅行期間が長くなってしまうことも大きなデメリットです。

② 街道歩き
エベレスト街道、ゴーキョルート、レンジョ方面は全て“街道歩き”となります。ヒマラヤ基本編①の中でもお伝えしたように街道歩きでは家畜が安全に通過しなければなりませんので、危険箇所が全くありません。また、人が生活をする村々を歩くため、ヒマラヤで暮らす人々の暮らしを間近に感じながら歩くことが出来ます。

③ フライトが不安定
カトマンズ〜ルクラ間のフライトはネパールの国内線で最も不安定で欠航が多い路線です。そのため、復路のフライト欠航時に徒歩と車で国際線に間に合うように最低でも1日はフライト予備日を設ける必要があります。また、往路でフライトが欠航してしまった場合、行程を省略するか、およそ5〜6万円の追加費用を支払ってヘリコプターを利用しなければならなくなります。

エベレストエリアのトレッキングルート

<アクセス>
エベレストエリアの起点となるルクラまではカトマンズからプロペラ機で向かいます(約30分)。ただし、2023年現在、ハイシーズン(4、5、10、11月)はカトマンズからルクラの直行便が飛んでいません。そのため、基本的にはカトマンズから車で5時間(昼間は6時間)先にあるマンタレーのラメチャップ空港からルクラに行くことになります。直行便のプロペラ機をチャーターすることも出来ますが、14〜16名ほど集めなければなりませんので事前の確約は難しいです。道路については、現状、ジュビ(ルクラから約半日下山した村)までは伸びていますがルクラまではつながっていません。日数に余裕があれば、カトマンズからジュビまで15時間ほど車に揺られ、そこから1日歩いてチェプルンでエベレスト街道に合流することも可能です。その他、一人600US$ほどでヘリコプターを1機チャーターをして向かうという方法もあります。他の同乗者を集めなければなりませんが、フライト欠航時であればかなりの確率で集まります。

<ルート概要>
大きく分けてトレッキングルートは3種類に分けられます。
ルクラからエベレスト街道を通り、クンブエリア最大の街ナムチェバザールへ行くところまでは共通。そこからナムチェの北側にあり、ホテルエベレストビューで有名なシャンボチェの丘に登り、クンデピーク(4,200m)に登って下山するという比較的お手軽な「シャンボチェルート」。
引き続きエベレスト街道を歩き、エベレストベースキャンプ(EBC)やエベレストに最も近い展望台カラパタール登頂を目指す「エベレスト街道ルート」。
最後に、サナサからエベレスト街道と分岐してクンブエリアのリゾート地であり、同時に4つの8,000m峰が見渡せる大パノラマが広がるゴーキョピークを目指す「ゴーキョルート」。ナムチェからはロールワリン方面の山々が見られる「レンジョパス」方面の分岐もありますが、レンジョパスはゴーキョから周った方が歩きやすいため、ゴーキョルートの派生とします。

まず、エベレスト街道もゴーキョルートもヘリコプターを使わずに全て歩くと20日近い日数が必要となりますので、旅行日数が10日前後しか取れないという方はシャンボチェの丘1択となります。シャンボチェの丘周辺の景色も素晴らしく、最も気軽にエベレストが見られるとあって、国内の旅行会社のツアーとしは最も多く催行されています。ちなみにこのプランは、トレッキング2日目のみ体力的にハードなので、その日に120ドル(1US$=130円として15,600円)で馬をチャーターすれば、筑波山レベルの登山初心者でも全く問題なく歩くことが出来ます。
ただし、ホテルエベレストビューからのエベレストはやはり少し遠く感じます。そのため、普通に往復でピストンするのではなく、カラパタールの中腹(約5,200m)までヘリコプターで上がって間近にエベレストを眺め、帰りは世界最高標高地(4,200m)のコンデホテルでティータイムを楽しんで、そのままヘリコプターで下山するというオプションは非常にオススメです。
費用は1600US$(1US$=130円として20万強を3名でシェア可能)と高額ではあるものの、下山日数が2日間短縮される上、ヘリコプターで間近にヒマラヤの景色を楽しむことも出来ますので、カトマンズ発着のマウンテンフライトツアーより遥かに良いと思います。

次に、EBCルート(エベレスト街道)はエベレストに最も近い展望台カラパタールやエベレストベースキャンプを目指します。アマダブラム、カンテガ、タムセルク、コンデリといった数々の秀峰が織りなす変化に富んだ絶景が魅力。“毎日が新しい絶景との出会いで感動の連続”という点ではこのルートに勝るものはありません(あえていえばアンナプルナ外周ルートが双璧となるか・・・)。シャンボチェの丘の景色も素晴らしいのですが、4,000mを超えるエリアとは比べ物にならない差がありますので、どうしても日数を確保できない場合以外は基本的にはこちらをオススメします。
かなり個人的な意見ですが、このルートはディンボチェ〜トゥクラまでの道か、ディンボチェから少し寄り道をしたチュクンリ付近の道が最も眺望が良いポイントとなりますので、可能であれば1日追加してチュクン方面にも足を伸ばして頂きたいです。

最後にゴーキョルートについて。谷間の道を真っ直ぐ北上して歩くため、エベレスト街道ほどの変化はありませんが、広い谷間なので非常に気持ちの良いルートとなっています。ゴール地点からの眺望としてはややゴーキョが優勢。エベレスト、ローツェ、チョ・オユー、マカルーという4つの8,000m峰が同時に眺められるゴーキョピークの大パノラマはとても素晴らしいです。そしてゴーキョ湖が非常に美しく、朝方には鏡池となるため、そこに映るチョ・オユーやフェリラプチャも圧巻です。また、知名度はあまり高くありませんが、チョ・オユーBC方面に歩くと、エベレストの眺望としてはナンバー1とも言われるスクランブルピークや5th レイクがあります。また、レンジョパス方面に抜けると、テンギラギタウ、パルチャモ、テンカンボチェといった名峰が見られ、エベレスト世界初登頂のテンジンノルゲイの生まれた村ターメを訪ねることも出来ます。
これまで、エベレスト街道とゴーキョルートの両方を歩いたお客様に、カラパタールとゴーキョピークはどちらが好きでしたか?と質問してきましたが、4割の方がカラパタール、6割の方がゴーキョピークと答えます。うーん・・・悩ましい笑。

「EBC方面なのかゴーキョ方面なのか、悩ましくて決められない・・・。」
そんな方に最もおすすめしたいのが、チョラパスを超えてエベレスト街道とゴーキョの両方を歩くルート。ある程度、健脚であることが求められますが、最難関と言われるチョラパス越えも8時間程度ですので、標高差1,000m以上の日帰り登山を“余裕を持って”歩ける方であれば、問題なく歩くことが出来ます。ちなみに、エベレスト街道からチョラパスを超えてゴーキョに向かう道は、ロブチェから出発し通常行程で3日、健脚者であれば2日で歩けます。このルートは、カラパタールとゴーキョピーク両方の景色が楽しめるばかりか、往路と復路で全く違った景色を楽しめるので一石三鳥。ゴーキョからの下山ルートも非常に素晴らしく、同じルートを降りるよりもはるかに楽しめます。
チュクンリ(5,550m)、カラパタール(5,550m)、ゴーキョリ(5,360m)というトレッキング3大ピークを全制覇することも出来ます。
ちなみに、チョラパス越えをする自信がない、体調を崩してしまったらどうしようと不安な方。ご安心ください。ゴラクシェプ(もしくはロブチェ)からゴーキョまでは1台1200〜1400ドル(1US$=130円として18万円程度)でヘリコプターをチャーター出来ます。3人+ガイドでシェアすれば一人あたり6万円。決して安いとはいえませんが、リピートして2回歩く費用と比較すると、上空からのヒマラヤの景色も楽しむヘリ体験も出来るので非常にお買い得とも言えますね。

その他、ややマイナールートでテント泊が必要になりますが、同じ日数ならコンデにあるパラクピークを目指すルートの方が眺望が良い。
また、難易度は少し高くなりますが、コンマラパス、チョラパス、レンジョパスという3つの峠を越える3パストレッキングやカラパタール、チュクンリ、ゴーキョリ という3つのトレッキングピークに登る3大ピークトレッキングなどもおすすめです。特に、チュクンリはエベレスト街道から1日外れてしまうため、他の2つのピークと比べて知名度は低いものの、見られる眺望は非常に素晴らしい。チュクンリの手前の丘でも十分に素晴らしい景色が見られるので、是非、検討して頂きたい場所です。

<エベレストエリアの主なプラン>
*料金は2名のプライベートツアーで国際線を含んだ概算

シャンボチェの丘(10〜12日 / 初中級 / 410,000円)
コンデ・パラクピーク(10〜12日 / 中級 / 450,000円)
エベレストBC&カラパタール(20-22日/中級 / 540,000円)
ゴーキョピーク(18-20日/中級 / 500,000円)
ゴーキョ&レンジョ(19-21日 / 上級 / 520,000円)
3大ピーク登頂(22-25日 / 上級 / 620,000円)
3パストレッキング(23-26日 / 上級 / 640,000円)
アイランドピーク(15-24日 / 登山中級 / 670,000円)
ロブチェピーク(18-24日 / 登山中級 / 670,000円)
メラピーク(17-20日 / 登山中級 / 650,000円)