エベレスト登頂記 特集記事-SPECIAL-

2019.02.19

【エベレスト登山】Day23 アイスフォールでアイスクライミング&エベレスト登山に必要な技術とは?

4月26日。元々は高度順応のためにアイスフォールを通ってCamp1(5,900m)に向かう予定だったのですが、2日連続の崩落事故や天候不純という話も出ていたので中止となりました。

急に中止と言われても、、、高まらせていた気持ちをどこに、、、的な雰囲気となったのでメンバー数人でアイスフォール下部の氷壁でアイスクライミングをすることにしました。思いがけず、アイスクライミングが出来ることになり、メンバーは大喜び。カナダ人のスヴァイやキャロラインはアイス経験が豊富だったので、トップロープをつけていもらうことにしました♪

朝食後にテントの近くにある氷壁に移動。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

壁の高さは、、、15m〜20mといったところでしょうか。初めてのアイスクライミングは予想以上に難しかったのですが、予想以上に楽しかったです! 慣れてくるとこれなら氷壁も楽に登れそうだなぁと感じつつも、酸素が薄い中で1,000m登れるかと言われると、いやいや絶対無理だよねぇ、登山家ってすごいねぇ笑 なんて言いながら呑気に楽しく遊ばせてもらいました。

懸垂下降

アイスクライミングでは、スヴァイとキャロラインの技術が卓越していて、どのシェルパよりも上手かった!自分も見よう見まねでやってみたものの、アックスの使い方や蹴り込み方などがなかなかうまく行かず苦労しました。なんとか頂上まではいけたが、次はもっと楽に上手く出来ると思う。もっと練習したかったのですが、1本のロープをみんなで使っているのでトライは2回ずつ。日本に帰ったらもっと練習してうまくなりたいなぁ。

一通りアイスクライミングで遊んだあとは、真面目に練習をします。ローツェフェイスで混み合ってることを想定し、下からロープをガンガン引っ張られながらのユマール練習。いやいや、そんなに引っ張る奴いないでしょ・・・!?
というくらいガンガンに横に振られました。最初のうちは焦りましたが、慣れるとなんてことなく登れるようになるものですね。
振られながらでも素早くユマールの付け替えができたので自信になりました。とても良い練習でした。

最後に、エベレスト登山で必要な技術についての余談です。
ノーマルルートではベースキャンプから頂上まで一本のフィックスロープが貼られていて、そのロープを辿っていくと迷わず登頂することができます。そしてロープに「ユマール」という上には動くけど下がらない器具(写真左)をつけて登るので、ピッケルすら重いから置いていきな?と言われます。メンバーのビカスが写真撮影に重要だろうが!といってシェルパさんに持たせてたのを撮影時はみんなで使いまわしました笑。

ただし、分厚いミトンをつけた状態でそのユマールを素早く付け直したり懸垂下降をするという特殊な技術が必要になるので、テント内でミトンを装着したままでユマールと8環(氷壁を安全に下降するために使う器具。写真右)を使う練習をしていました。ひたすら続けていたのでこのスピードにはなかなか自信があります。もちろんヒマラヤ以外ではまったくもって役立たずなスキルですし、ヒマラヤでもシェルパさんが付け替えてくれる隊も多いようですね。
僕の感覚ではそこまで行くと自分の登山と言えなくなるような気がして、最後まで自分で操作しました。

フィックスロープと自分のハーネスと繋いでおけば、滑落やアイスフォールへ落下した際、5〜10m置きに設置された支持ポイントで停止することができます。このフィックスロープと自分のハーネスをつなぐカラビナ&スリングをセーフティと呼んでいましたが、実際のところ10m落下したら命があっても怪我はするでしょうからあまりセーフティではありません。実際、ニマも何本も骨を折って運ばれましたしね。

お昼の後はテントに戻って再度靴の調整とパッキング。いつ、出発の合図が掛かっても迅速に行動できるよう準備する。
果たして、、、今日の夜は出発できるのだろうか? 心の準備は万端ですよー。

]]>
エベレスト登頂記一覧へ