エベレスト登頂記 特集記事-SPECIAL-

2018.07.03

【エベレスト登山】Day18-20 ベースキャンプで休養(暮らし紹介)

Day18(4月21日)ベースキャンプ帰還

2泊3日のロブチェピーク遠征を終え、ベースキャンプに帰還。ロブチェを8時40分に出発してゴラクシェプに10時30分、ひと休憩して11時にゴラクシェプを出発し、12時半にベースキャンプ到着。相変わらずベースキャンプ入口からエクスペディションのテントまでが長い、、、

やはりベースキャンプの飯は美味いし、個人テントはとても落ち着く。そしてこの遠征の間に壊れていたアンテナの修理が完了したらしくインターネット環境が劇的に改善していた。個人テントやダイニングでネットが出来るようになったのでわざわざ電波を探してベースキャンプ内を歩き回らなくて良いし、家族や友人と普通にLINEやFACEBOOKでやり取り出来るのはとてもありがたい。ちなみに、改善前はテントから裏手の丘を登って100mくらい歩いた所にあるレスキューテントまで行ってLINEを確認していた。

午後はためていた洗濯と荷物の整理。とても天気が良かったので気持ちよく洗濯が出来た。それからバケツにお湯をもらって湯浴みをする。3日ぶりの湯浴みは最高に気持ちがいい。湯浴みはシャワーテントと呼ばれ脱衣所と浴びる場所が分かれたテントで行う。太陽があたっていると暖かいんだけど雲に入った瞬間に極寒となるので、快晴の時間帯を狙って湯浴みする。

洗濯物は天気が良い日は外に干すけど、天気が悪い日はこんな感じでテント内で乾かす。夜までに乾かない場合はダウンパンツ&ライトダウンの中に入れて体温で乾かす。

夕方からはダイニングテントでくつろぐ。中央にはテント内のルールやスケジュールが張り出されていて、テーブルの上には無数の食料やジュースの素が置かれている。お湯は少なくなるたびにお願いして煮沸してもらい、水はないのでお湯をボトルに移して冷ましておく。写真で座っているのがインド人のスーパージェントルマン1号”サム”。

サム&ソラジとお互いの国を旅行しようという話や、いつかパートナーとして一緒にアドベンチャーツアーを開催しようという話で盛り上がった。2人とも本当に良い人たちで信頼できる。

それからローツェ側の最後のメンバー。インドの有名トレイルランナーのブリーズが合流。最初はつっけんどんな感じだったんだけど、ピーボトル(テント内でおしっこをする時に使うボトル)のスタンスの話題で大いに盛り上がった。ブリーズは親父ギャグと下ネタが大好物だ。

夜になると、リッキー、スヴァイ、サムが具合悪そうにしており、風邪がうつるのが怖いので早目にテントに戻ることにする。

Day19(4月22日)

午前中は暇だったのでベースキャンプ内を散歩して歩いたり、洗濯をしたり。

午後はモノポリー。

やったことがある人はご存知かもしれないが、このモノポリーというゲームは恐ろしくリアルで、金は金持ちに流れ、貧乏は搾取され続ける仕様になっている。経営コンサル、シティバンクのマネージャー、アメリカでMBAを取得した経営者×3人と主婦がプライドをかけて勝負する。

互いに罵倒しあい、夕食のデザートを賄賂として送り、貧乏を徹底的に叩き、金持ちにすがり、騙し、裏切り、、、。汚く醜い争いを続けた結果、主婦がクリーンな戦いで爽やかに勝ち星を重ねていった。

とにかくベースキャンプでは暇。この頃は10冊ほど持っていった小説を読んだり、毎日4〜5時間の英語学習、4〜5時間のモノポリーやウノ、トランプなどのカードゲームに時間を費やしていた。

Day20(4月23日)

朝食後にベースキャンプ入り口まで2時間くらいかけてゆっくり散歩。

途中で鳥をしめている場面に遭遇。基本的にはシェルパはチベット仏教で殺生を嫌うため、肉は下界で準備されたものがヘリで運ばれてくると聞いていたので驚いた。どおりでチキンカレーもフライドチキンも絶品なわけだ。

それから、よくベースキャンプでの水の確保について聞かれるんだけど、普通に氷河が溶けた川が流れているのでこれを煮沸して料理や飲料水、洗濯に使っている。

ダイニングテントでは、そろそろ自己紹介を兼ねたありきたりな話題が尽きてきたのでインドとアメリカの文化の違いや経済などについての語りあいが始まる。洋画とかで学生のディベートなんか見てても思うけど、正直、自分の知識をひけらかすことを目的とした価値を生まないディベートほどつまらないものはない。そもそも、政治や経済の内容になると半分くらいしか聞き取れないし涙。最初は気を使ってゆっくりはっきり話してくれていたが、この頃のスピードになってくると英語力の低い自分にはなかなかハードルが高い。

「And…? (そんで?)、So what…?(だから何?)」が頭の中で連呼を始めたので諦めて読書に耽る。

田部井さんの 「それでも山に登る」 はとても感慨深いものだった。重い病を患いながらも、ひたむきに人を山に登らせる。人に山の良さを知ってもらいたい。という想いが自分の想いと重なる部分があり面白かった。私は山に限らず世界中の絶景を感じてもらいたいと思っている。

夕飯の時間になると、少し頭が痛いことに気づく。テントで横になって読書をしていたせいで呼吸が浅くなってしまったのか、ダイアモクスを止めているせいか、飲む水の量が少なかったせいか、、、。すると、すぐにソラジが気遣ってくれた。サムとソラジはこういう時にすぐに気付いて声をかけてくれるとても優しい2人。

頭痛もあったし、翌朝は6時半に朝食を食べてアイスフォールに向かうため、早めに就寝。ダイニングテントでは約半数のメンバーが体調不良を訴え、咳をしている状況だ。

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