エベレスト登頂記 特集記事-SPECIAL-

2018.06.25

【エベレスト登山】Day12-15 ベースキャンプにて休息。満天の星空を大公開

Day12-15はベースキャンプにて休息日。というか、後続のメンバーと合流してから高度順応のためにロブチェピークへ行くため、しばらく休息が続きます。午前中は毎日とても天気が良く雲ひとつない快晴でした。こんな感じで空が青がとても濃いです。

少しだけベースキャンプのシステムをご紹介。

基本的に朝食は8:30に始まる。シリアルは自由でそれ以外にパン系と卵系の料理が出る。パン系はチベタンブレッドやフレンチトースト、普通のトーストなどなど。卵系は目玉焼き、卵焼き、スクランブルエッグ、ゆで卵などなど。前日にメンバーと話し合ってオーダーすればそれを料理してくれる。昼食は12:00ちょうどで夕食は18:30にスープタイムで19:00にメインがサーブされる。こちらもオーダーをすればなんでも作ってくれるので辛ラーメンが食べたい時などは特別にオーダーすることも可能。

朝食後はダイニングテントの前に椅子を出して双眼鏡でアイスフォールを行き来する人を眺めたり洗濯をしたりシャワー(バケツのお湯を浴びるだけ)。双眼鏡を使わないとどこに人がいるいるかも見えないが、拡大すると巨人の国に迷い込んだ小人が懸垂下降したりする姿が面白い。写真ではその巨大さが全く伝わらないのが残念。

ここで突然クイズ!下の写真のどこに登山者がいるでしょうか?? 拡大すると2〜3人はいます。

ってアップした後に気付いたけど、画質低すぎて全然分からん、、、 後ほど、ギャラリーに画質の良い写真をアップするのでそちらでご覧ください。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ベースキャンプ到着の翌日には、ポーランドの登山アイドルのミルキからインタビューを受けました。ショートムービーを作ると言っていたけど、その後どうなったんだろう。

ってか、あらためて見ると片手でカメラ構えてるし、カメラ近すぎだし。ズームレンズ使ってるんだからそんなに寄らなくていいでしょ笑

初日の午後には散歩ついでにリッキーとベースキャンプ入口の岩に写真撮影に行く。リッキーはまだ順応が進んでおらず苦しそうだ。

入口に到着すると、タイ人グループを発見。久しぶりにタイ語で話そうと思ったらサワディーカップすら出てこなくて愕然とした。タイ人らしく裸になったりして楽しそうに写真を撮っていた。

少し調べたところ、タイ人女性のエベレスト初登頂は2016年。彼女はプミポン国王にも謁見し、プラユット首相からも素晴らしいコメントをいただいている。記事の抜粋はこちら。

”プラユット首相は「登山者は成功するまで全力で頑張らなければならないと同時に、自分の命も守らなければならず、様々な苦難を乗り越えなければならない。ナパサポンさんには今後もタイ人女性が強く、困難な状況にも負けず頑張ることが出来るというのを示すため、タイの文化や伝統、登山について紹介する観光文化大使の代表になって欲しい。」と述べた。”

稀少性は様々なものの価値を高めるけど、エベレスト登山にも同じことが言えそうですね。特にタイは人脈が命のビジネス文化なので、エベレスト登山を通して良い人脈を作ることが出来れば生涯安泰を得ることも難しくなさそう。タイ人のみなさん。早いとこエベレストを登りに行きましょう〜。

ランチはシーチキンとコールスローとバンズで自分でツナバーガーを作って食べたり、ピザが出たり、オーダーすれば昼と夜は白米も食べられる。ベースキャンプでは白米&ごはんですよとサラダが食べられるのが有難い。

12日の午後にはカナダ人のメアリーが到着。

ベースキャンプに1泊できるトレッキングツアーがあるらしい。せっかくエベレスト街道をトレッキングをするなら、やはりベースキャンプで一泊出来るのはとても良い体験。しかも、エベレストエクスペディションを企画している会社のテントに宿泊すれば、アイスフォールでアイスクライミング体験も出来る(正確には許可外だが許可を持っているメンバーと一緒ならバレない)。

午後は他のエクスペディションのテントを視察して、エベレストの失敗要因や各エクスペディションのサービスの違いなどなど、色々な話を聞いて回りました。記憶に残っている話をいくつか紹介します。

まずは、エベレストの失敗要因について。

1番多いのは天候の問題。4〜5日後の天気予報に基づいてサミットプッシュを開始するが、山の天気は変わりやすい。エベレスト登山における天候とはほぼ風を意味するが、風の強い日(ジェットストリーム)に当たると、時速200キロで氷の球が飛んで来るらしいので即断念。

次にシェルパ問題。シェルパはサウスコル(7,900m)まで行けばサミットボーナスがもらえるので、そこでサポートを辞めるケースがある。8,000mからはデスゾーンとなり、最初から無酸素を想定した高度順応をするか、酸素装備が扱えないと登れないためリタイア。*事前に酸素装備の使い方を把握し、さらに7Kg(ボンベ2本分)を自分で背負うか、サミットボーナスは登頂前提となるよう交渉することで対策可能。

3つ目が体調と凍傷の問題。体調悪化は7〜8割はベースの体力の問題。ギリギリの疲労感の人と余裕がある人では高山病リスクが違う。また、スピードが早ければ極寒地での滞在時間を抑えられるし、指を動かして血流を促進する余裕も出て来る。

地震や大雪崩などを除くと、話を聞いて回った中での成功率は大体60〜70%くらいという印象。

それから、参加費用が400万程度の隊と1000万以上の隊では何が違うのか。高額なエクスペディションはサポートシェルパの数や酸素ボンベの数が違ったり、登山中も手厚いサポートが受けられたりする。あとは、高度順応後にサミットプッシュに向けて一度下山して鋭気を養う期間があるんだけど、その時にヘリコプターでカトマンズまで帰ってシャバの暮らしができるといったサービスがある。去年は、カトマンズからさらに北京に帰って鋭気を養った中国人がいると聞いてさすがに吹いた笑 基本的に安価なエクスペディションで同様のサポートをオプションで付けた方が100万以上安く済むことが分かった。

私はベースキャンプでの暮らしにも満足しているし、ある程度自分の力で登りたいと考えているので今の隊で十分だが、登れれば良いと考えるならシェルパに引っ張ってもらったりすることも出来る。

一部、超低価格な隊の話も聞いた。セブンサミッツという会社。超低価格で顧客を取りすぎた上にシェルパに支払われるフィーが他社の30%程度なので、シェルパが足りなくなって経験のないシェルパを強引に使っている。アイスフォールの入口でシェルパ同士でアイゼンの履き方を教えるレベル。おいおい、8000mどころか雪山すら登ったことがないじゃないか、、、。この会社は過去に死人を出しすぎて行政勧告を受けたほど。

夕飯後はシェルパがよくやるというカードゲームをしたり読書したり、小説が尽きてからは主に英語の勉強。いつも8時〜9時には自分のテントに戻って勉強をする生活。元々、睡眠時間が少ない体質なのにそんなに早く寝るものだから毎日1時くらいに目が覚めるので写真撮影には良かった。

個人的に好きな順に3枚だけご紹介。ほぼ新月だったので星が物凄くはっきり見えた。

第1位:ヘッドライトにライトアップされたアイスフォールと天の川が最高に美しい。

第2位:中央から広がるように流れる天の川とテント群のバランスが好き

第3位:3位は本当に迷ったんだけど、風でブレたり、トイレに行く人が写り込んでしまったりして、氷点下の夜に何度もトライした努力の結晶をチョイス

最後に体調面のお話。ベースキャンプ到着日の夜から、しばらく標高を上げることはないのでダイアモックスを止めていたら、どんどん血中酸素の数値が下がってきた。到着日は85だったのに翌日の朝が80、昼が75、夜には70くらいまで下がってきて、微妙に頭痛も感じられたので再度ダイアモックスを飲み始めた。リッキーもダイアモックスを止めたことで体調が一気に悪化したと言っていたけど、数字でも証明されました。ダイアモックスは大事だね。ちなみに、私が尋ねたシェルパは全員がそんなの必要ないと言っていた。

いや、、、あなたにはそうなんでしょうよ笑。

さらにベースキャンプ到着の翌日から風邪を引いてしまい、食事を半分くらいしか食べられなくなりました。サミットプッシュまではまだ1ヶ月以上あるので、むしろこのタイミングで風邪を引けたことは不幸中の幸い。ちなみに、ベースキャンプはとても乾燥しているため、クライマーのほぼ全員が咳に悩まされます。のど飴やのど薬は必須です。

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