エベレスト登頂記 特集記事-SPECIAL-

2018.06.23

【エベレスト登山】Day10 スコットフィッシャーに手を合わせ、4900mのロブチェへ

今日は4,400mのディンボチェから4,600mのトゥクラを通って4,900mのロブチェまで歩きます。

まずは昨日と同様、コンラ側の丘に上がり、そこからはなだらかな登り坂をトゥクラに向けて3時間ほど歩きます。時間感覚が少しズレてきていて3時間のトレッキングはとても短く感じる今日この頃。写真はコンラの丘から見下ろすディンボチェ。

前方には数日後に登る予定のロブチェイースト(6,119m)、左手には谷を挟んでタウツェ(6,542m)とチョラツェ(6,440m)が並んで見えます。とても距離が近くインパクトが凄い。

後方にはアマダブラム、カンテガ、タムセルクが見えます。少し雲が出ていると、それらの山が空に浮いているようにも見えて壮観です。

さらに、トゥクラの手前まで来ると正面に綺麗な三角の山プモリ(7,161m)が見えて来ます。ディンボチェと丘を挟んだ反対側にあるペリチェは主にヤク(高度順応した牛)のブリーダーを特産としているため、この付近は牧草地が広がっていてとても気持ちの良い道です。

3時間ほど歩くとロブチェコーラという川を渡ってトゥクラに到着。ヒマラヤの川は色が白濁していることから、コーラやミルクといった名前がつけられるようです。

去年来た時はトゥクラで日本人の大地さんと出会って意気投合し、日本に帰ってからは新潟の自宅にお邪魔させていただきました。近年、エベレスト街道を歩く日本人は急激に減少しているらしく、昨年も今年も3〜4グループしか見ていないのでティーハウスなどで偶然出会うと嬉しいものです。

今回はトゥクラ休憩なし。ロブチェまでは残り2時間程度。トゥクラの上方には約250mの急登が続きます。昨年はこの坂が非常に苦しかったのですが、トレーニングの甲斐あって今回は全く苦しくない。トレーニングのために約20キロの荷物を背負って全くペースを落とすことなくノンストップで登り切ることが出来ました。写真は丘の上から見下ろしたトゥクラ。

この坂の上はヒマラヤで亡くなられた方々の慰霊碑がいくつも並んでいます。その中の一つに映画エベレストでも有名なスコットフィッシャーの慰霊碑もあります。一通り探して見ると、奥の方(ロブチェ側)の左手に日本人の慰霊碑も見つけましたので手を合わせました。

ここからロブチェまでは再びなだらかな道を歩きます。右手には世界最高のクライマーの一人、ウーリーが滑落して亡くなったヌプツェが見えます。

登山にあまり興味のない方にも見ていただきたいウーリーの動画がコチラ。世界トップクラスのクライマーでも2日間かかると言われたアイガー北壁をわずか2時間22分50秒で登頂した奇跡的な登攀です。

数千メートル滑落必至のナイフリッジを走っとる、、、(笑)

約1時間でロブチェに到着。ロブチェは馬が放し飼いにされているので、軽く愛でつつ写真をパシャり。山々に囲まれた中で馬の写真を撮ると絵本の世界のように見えます。

ロブチェはロッジの数が少ない上に登りと下りの登山者が多く宿泊するため、部屋が取れずにダイニングに寝ることになったりします。ガイドをつけている場合は予約できるのですが、個人で歩く場合は朝早く出発して早い時間に到着することをオススメします。また、ロッジの選択を誤ってしまうと、窓がなくジメジメしていて布団もベトベトの牢獄のような部屋になってしまうことも。私のように、、、

はい。昨年に引き続き、今回も最低な部屋に宿泊することになりました。ガイドが付いていても、日本人のように清潔さな空間への感度が低いガイドだとこういうことになるんですね。

窓は廊下のみ。布団はしっとりベトついています。トイレに行くと、摩訶不思議なことに便座の上に2〜3個のブツが乗っているではありませんか。完全に侵攻を許している進撃の巨グソ状態。もちろん、香りの方も3秒で悶絶必至の異次元級。

昨年、奈苗は登山自体は全く問題がないにも関わらず、こういうストレスにやられて毎日涙を流しながら「今すぐ帰りたい」を連発することになりました。とにかく、ベースキャンプ手前のロブチェとゴラクシェプの宿泊施設には魔物が住んでいるので要注意。

汚い話はここまでにして、ダイニングでくつろぎます。今日はインド人のサンギータとスイス人のターニャと話をしました。2人ともとても若々しく見えるものの50才を超える女性で、エベレスト登頂に挑戦します。サンギータの方は成功するとインド人女性として最高齢記録を更新するとのこと。

エベレストエクスペディションには登攀や荷物運びを全て自力でやらなければならない隊から荷物は全てシェルパ持ちでクライミングサポート付きの隊まで、サポート体制に幅があります。まぁ、完全サポートでも物凄く大変ではあるのですが、そこまで体力がない方や高齢の方でも、しっかりトレーニングをしていれば十分に登頂可能性があります。

実際、この2人はどちらも登頂に成功し、サンギータはインドの有名人になりました。

今夜も星空撮影にトライしましたがあいにくの曇り空。しかも超寒いのであっさり断念。標高4,900mともなると朝晩の気温はマイナス。ロッジの中でも部屋は10度くらいになります。

夜はいつも通り本を読みながら就寝。いよいよ明日はベースキャンプに到着だ!

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