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ヒマラヤトレッキング基本① ヒマラヤトレッキングの魅力

ヒマラヤトレッキング基本① ヒマラヤトレッキングの魅力

目次

①ヒマラヤってどんな場所?
②ヒマラヤトレッキングの魅力と特徴
③ヒマラヤトレッキングの注意点

関連記事

ヒマラヤトレッキング基本編②:ヒマラヤトレッキングの時期・ベストシーズン
ヒマラヤトレッキング基本編③:ヒマラヤ主要ルートの概要まとめ
ヒマラヤトレッキング基本編④:ヒマラヤトレッキング出発までの準備一覧

ヒマラヤってどんな場所?

ヒマラヤは、インド亜大陸とユーラシア大陸の衝突による隆起で形成された地球上で最も標高の高い山脈地帯。広義のヒマラヤは、中国とパキスタン国境にあるカラコルム山脈なども含めるため、地球上に存在する14座の8,000m峰ばかりか、120座以上存在すると言われる7,000峰の“すべて”がヒマラヤに属していると言えます。
つまり、この地球上の大きな山ランキングの上位100座はなんとすべてヒマラヤが独占。巨大な山の景色を見たい!と思ったらヒマラヤに行くしかない。と言っても過言ではありません。

ちなみに、インド亜大陸の北上は続いているため、世界第1位のエベレスト(8,848m)も含めてヒマラヤ山脈の成長も続いているというのは有名な話ですが、造山活動のための水平移動は1年間で5mm程度ですので、私たちが生きている間に垂直方向に標高が変わるということは起こりそうにありません。それでも、たまに標高が変わったと報道されるのは、山頂の雪を含めるかどうかといった議論や測量技術の発達による変動によるもの。現在、エベレストの標高は2020年に中国とインドの合同測量の結果である8848.86mという標高が一般的であり、Wikipediaの標高も8849mに修正されました。車のナンバープレートを8848にしてしまった著者にとっては頭の重い問題なのです。

ヒマラヤという名前はサンスクリット語の「雪(ヒマ)」+「住みか(アーラヤ)」から来ています。

ヒマラヤトレッキングの魅力と特徴

それでは、絶景カメラマンとして世界40カ国以上を旅した経験から、他のエリアと比較した際のヒマラヤトレッキングの特徴や魅力についてお伝えします。

ヒマラヤの特徴①:山が急峻で大きい

上でもお伝えしたように、ヒマラヤの山はとにかくスケールが大きい。世界中の他のどこの山域と比べても山のインパクトについては抜きん出ています。上の写真も下の方をよく見ると人が豆粒のように見えるのが分かりますでしょうか。

そして、マッターホルンやグランドジョラス、アルパマヨのような、他のエリアにおいては、その地域を代表するような、そんな凄まじいインパクトのある山が、右にも左にも正面にも聳えて囲まれているのがヒマラヤの景色なのです。

よく、「山の標高も高いけれど、それを見る場所の標高も高いですよね(なので、そこまでインパクトはないのでは?)。」と聞かれますが、インパクトの違いは壁の高さを比べれば明らか。ヨーロッパ最大のアイガー北壁は1,800mもの高さがありますが、ヒマラヤ西部にあり世界最大の岩壁である、ナンガパルバット南壁(かの有名なルパール壁)は、なんと4,800m。漫画「岳」で、主人公が最後に自分の力を試すと言って挑戦したローツェ南壁は3,300m。
こちらは、エベレスト街道トレッキングから追加1日で訪れることが出来る「チュクンリ」というピークから間近に見られますが、思わず笑ってしまうくらい大きく、もはや視界に納まりません。

ヒマラヤの特徴②:天候が安定している

山を歩く際、何を置いても大切なのは天気ですよね。ネパールの山岳地帯のほとんどのエリアにおける気候区分は温帯冬季少雨気候。モンスーンの影響を強く受けるため、雨季と乾季がハッキリと分かれているのが特徴です。雨季は毎日のように雨が降りますが、乾季の晴天率は非常に高いのです。

エリアによっても異なるため、天候の詳細は別記事でまとめますが、乾季である10月〜5月前半における午前中の晴天率は80%以上となっており、ほぼ毎日、晴天の中でヒマラヤの山々の景色が楽むことができます。さらに、乾季においては雨が強く降った翌日は晴れることが多いため、エベレストが見えるエリアに2〜3日も滞在すれば、エベレストが見られない可能性は非常に低くなります。

これは時間の限られた旅行者にとって非常に魅力的な条件と言えるでしょう。ちなみに、ハイシーズンは3〜5月の春シーズンと10月〜11月の秋シーズンとなります。それぞれの違いや気候の詳細については関連記事にあるヒマラヤのベストシーズンの記事をご覧ください。

ヒマラヤの特徴③:極めて安全な登山道(が多い)

ネパールのトレッキングエリアのほとんどの地域には車道がありません。そのため、そこに暮らす人々の生活を支える輸送手段はカッツァル(ラバとも呼ばれるロバと馬の交雑種)やゾッキョ(ヤクと水牛の交雑種)といった家畜達です。そういった家畜の一団が大切な生活物資を安全に運ぶためには、出来る限り平坦で安定した幅広い道を整備する必要があるのです。

実際に歩くと分かりますが、日本の登山道からイメージするような岩場や木の根が張った樹林帯は全くありません。幅3m程度の土道、石畳、階段などで整備されています。アップダウンはあるので体力は求められますが、登山技術としては超初級。峠越えや氷河といった家畜の歩かないルートを除けば、高尾山や筑波山よりも遥かに歩きやすいので登山をしたことがない方でも全く問題ないのです。
むしろ、整備されているがゆえに、ソールの硬いしっかりした登山靴はとても歩きづらいです。

ヒマラヤの特徴④:暮らしとの距離が近い

日本の登山がそうであるように、海外の多くのトレッキングルートは人里から離れた場所にありますが、ヒマラヤのトレッキングルートは、人が暮らす村々を巡って歩くため、その場所の暮らしや文化を感じながら歩くことができます。苦しい急坂をひぃひぃと登っている横を、子供たちが教科書片手にテスト勉強をしながら悠々と抜き去っていく。歩く道沿いには様々なチベット仏教のモニュメントがあり、昔ながらの農法で作物を育てる人がいて、ロッジではコロッケのオーダーを受けた後に芋を掘りにいく(こともある)。道中に学校が点在し、子供たちの無邪気な笑顔が見られる。これも他にはないヒマラヤトレッキングの大きな魅力と言えるでしょう。

ヒマラヤの特徴⑤:滞在環境が割と快適(山小屋と比べて)

ヒマラヤトレッキングと聞くと、不潔で古い小屋に何日も滞在出来るだろうか。と不安に感じる方が少なくありません。しかし、主要なトレッキングルートは世界中から多くの登山ファンが集まる大人気のトレッキングエリア。宿泊するロッジも次から次へと新しいロッジが誕生しているため、ロッジを選べば比較的快適に過ごすことができます。

まず、ロッジの客室は基本的にツインルームの個室で、しっかりとプライベート空間が確保されています(ハイシーズンに事前予約なしの場合、部屋が取れずにダイニングで雑魚寝となることもあります)。そして、比較的新しいロッジを選べば基本的に洋式の水洗トイレ(4,700m以上では水道が凍るのでバケツの水を流さなければなりません)。充電は個室ではできませんが、ロッジのカウンターにて有料で充電可能です(エベレスト街道はスマートフォン500円、モバイルバッテリー1000円)。インターネットは高速ではありませんが、ロッジの有料Wifiを利用することで、ネットサーフィンをしたりLINEで家族や友人とやりとりをする程度は問題ありません(500円/1日)。さらに、毎日ホットシャワーが浴びられます(お湯は熱いですが、シャワールームが寒いので服を着る前に体が冷える)。食事はロッジのダイニングで米類(チャーハン、カレーライス、ダルバートなど)、麺類(スパゲッティー、うどん、焼きそばなど)、パン類(サンドイッチ、ピザ、ハンバーガー、パンケーキ、トーストなど)、スープ類(トマト、オニオン、ガーリック、すいとん汁など)からお好きなものをオーダーできます。

とにかく、大前提として重要なことは良いロッジを選ぶこと。現地ガイドさん任せになってしまうと、親戚や友人のロッジを案内されることが多く、建物が古く、すきま風があり、トイレは離れにある”ぼっとん”トイレ、日当たりが悪く布団もジメジメなどなど・・・、いるだけでストレスということも少なくありませんので注意が必要です。

ヒマラヤトレッキングの注意点

ここまではヒマラヤトレッキングの魅力についてお伝えしてきましたが、ヒマラヤトレッキングは超快適で良いこと尽くし!というわけではありません。やはり長期間に及ぶ高山での生活環境にストレスを感じる方も多くいらっしゃいますので、ヒマラヤトレッキングに参加されたお客様が感じる「辛さ」を対策と合わせてご紹介させて頂きます。もちろん、すべての項目において、感じ方にはとても大きな個人差があるということを前提にご覧ください。

① ロッジが寒い
こちらが圧倒的に第1位。ヒマラヤの天気は雨季と乾季が分かれているとお伝えしましたが、雨季は6月〜9月の夏で、乾季は1月〜5月と10月〜12月の春、秋、冬。そもそも、涼しい時期に標高4,000mを越える場所に行くわけですから、気温が低いのです。乾季の中では比較的暖かくベストシーズンと言われる10月でさえ、ナムチェバザール(3,440m)の平均気温は最高5度、最低-2.1度。エベレスト街道の最後の村ゴラクシェプ(5,140m)の平均気温(概算)は最高-1.9度、最低-9.3度となります。
外を歩いている時は日差しもあり体温も上がるため快適ですが、ロッジは石造りのため夜から朝にかけてとても寒いのです。二重樹脂サッシの窓を導入しているロッジは比較的マシですが、それでも窓際に置いた水が凍ってしまいます。また、燃料が貴重なエリアなので、暖房設備はダイニングの暖炉のみ。火が灯る時間は朝と夕方に限られます。
そこで防寒対策が重要になるわけですが、ロッジ内ではユニクロのヒートテック超極厚のタイツ上下にダウンパンツ、ライトダウンジャケットを重ね着します(ヒートテックは汗冷えの原因になるため行動中の着用は非推奨)。さらにホッカイロを貼り、ナルゲンなどの広口ボトルにお湯を入れて湯たんぽとして利用してください。また、寝袋の使用方法も重要。ワンダーズでは-30度対応の極厚シュラフをレンタルしていますが、寝る時に頭をしっかりと包まないと首元から冷気が入ります。あらかじめ正しい利用方法をご確認ください。
ちなみに、北国出身の方は-10度くらいの寒さに慣れており、全然余裕という方も少なくありません。

② 食事が合わない
海外では“あるある”の問題ではありますが、ヒマラヤトレッキングは期間が長くなりがちで、海外にそこまで長期滞在するのは初めてという方も少なくありません。その上、カトマンズであればいくらでも美味しいものが食べられますが、山の中ですから、どうしても料理のレベルは下がってしまいます。
あくまでも私のイメージですが、「ロッジで好きなものをオーダー出来るし美味しいので満足」という方が60%。「飽きてはくるけど問題はない。我慢すれば大丈夫」という方が25%。そして、「飽きや味付けが合わないことで食が進まない」という方が15%程度いらっしゃいます。毎日、歩き続ける旅で食が進まないことは致命的です。

そこで対策ですが、日本の調味料やご飯のお供を持ち歩き、日本食っぽい料理をオーダーするという方法が最もおすすめです。特に和風だし、しょうゆは重要。例えば、トゥクパ(薄味のうどん)やシェルパシチュー(野菜たっぷりのすいとん)をオーダーして和風だしを入れるとほぼ日本食です。モモ(ネパール餃子)も香辛料を控えてもらい、しょうゆをかければ普通の餃子にかなり近いです。さらに、白米とスープをオーダーしてご飯のお供(なめ茸、海苔の佃煮、ふりかけなど)と一緒に食べれば大抵の方は食べられます。ここぞとばかりに「高級ななめ茸」や「高級な海苔の佃煮」などを持っていくと食事のテンションが上がりオススメです。

ジャポニカ米のような粘り気や甘さがないインディカ米(長粒種)が苦手という方は、尾西の炊き込みご飯などのドライフード、サトウのご飯、常温保存が出来る防災用のチルド惣菜、缶詰などをお持ちください。ロッジでも何かしらオーダーをすれば温めてもらうことが出来ます。

それでも食事が心配という方。最後の手段としては、私が年に1度だけご案内している日本食コック帯同ツアーにご参加ください。正直なところ、すごく美味しいわけではありませんが、ある程度、日本人が食べやすい味付けにしてくれます。ただし、普通にロッジの食事の方が好きという方も少なくありませんので良し悪しですね。
ロッジのメニューやおすすめ料理は別記事でまとめておりますので、そちらをご覧ください。

→ヒマラヤトレッキングのロッジの食事と過ごし方

③ 風邪をひく
気温の低さ、栄養バランスの欠如、疲労やタンパク質とビタミン不足による免疫低下、喉の乾燥などなど、ヒマラヤトレッキングには風邪をひいてしまう要素がふんだんにあります。とくにエベレスト街道などの高所では、冷たい空気と乾燥によって、クンブコフ(エベレストのあるクンブ地域でよく出る咳症状)と呼ばれる症状により、ロッジのダイニングなどでは半分近い方々が咳をしています。
対策についてですが、①まずは基本である手洗いうがいをしっかり行うこと。②次に乾燥・埃対策のためにマスクをすること。呼吸が苦しくならないようウレタン製のマスクをおすすめします。③同じく乾燥対策のため、頻繁にのど飴を舐めること。④栄養バランスを整えるため、朝食の際にプロテインとマルチビタミン&ミネラルを飲むこと。⑤しっかり睡眠するために耳栓・アイマスクをすること(睡眠導入剤は高山病リスクが上がるため厳禁)。⑥ロッジでは防寒対策を徹底すること。などが挙げられます。

今回はヒマラヤトレッキングの魅力と注意点についてお伝えしました。ワンダーズのホームページでは、ヒマラヤトレッキングや登山に必要な情報を出来る限り詳しく分かりやすくご案内しております。現地に行ってから後悔しないよう、しっかりと準備をして出発してくださいね!

また、ワンダーズでは、ヒマラヤトレッキングのアドバイスやプラン作成だけでなく、具体的な計画ないけどいつかはヒマラヤを歩いてみたい!という方向けにオンラインにてヒマラヤトレッキング説明会を実施しています。電話営業などは一切行っておりませんので、お気軽にお問合せください。

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皆様のヒマラヤ旅行が一生の思い出となりますように!

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