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ヒマラヤトレッキング/ ロッジの過ごし方と注意点

ヒマラヤトレッキング/ ロッジの過ごし方と注意点

目次

① ロッジの環境について知ろう
② ロッジ到着〜翌日出発のおおまかな過ごし方
③ ロッジでの注意事項

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はじめに

本記事では、ヒマラヤトレッキングを快適に楽しむためのロッジの環境、過ごし方、注意事項について解説します。日数の長いヒマラヤトレッキングを楽しむためには、ロッジでの生活をいかに快適でストレスなく過ごすかが最重要。しっかりと準備して快適なヒマラヤトレッキングをお楽しみください。

ロッジの環境について知ろう

まずはロッジの環境について知りましょう。とはいえ、環境はロッジによって全く異なります。トイレが屋外の離れにある穴が空いただけのロッジもあれば、水洗トイレのロッジも多くあります。新しいロッジは部屋も綺麗で清潔ですが、古いロッジでは部屋に窓がなく、布団がカビっぽくジメジメしていたり、隙間風がひどいといったことも珍しくありません。また、表向きは綺麗そうなロッジでも外装だけをリフォームして中身は古いままということもあるので注意が必要です。
本記事では、各村で比較的新しく快適なロッジの環境を基にお伝えしますが、大前提として、まずは快適なロッジ選びが出来ていないと、滞在する際のストレスがとても大きくなるということを踏まえて頂ければと思います。

<個室>
まずは、ロッジの個室について。ほとんどの部屋は2ベッドルームとなっており、1人参加の場合は2ベッドルームの1人使用が基本となります。ハイシーズンで部屋が空いていない時は相部屋になることもありますが稀です。

部屋にはベッドの他、衣類を干すフックが付いていることが多く、サイドテーブルが付いているロッジは半分くらい。やはりサイドテーブルが付いている方が便利ですが、ついていない場合もベッドの横にダッフルバッグを置けるので、そこまで不便はありません。

ほとんどのロッジは石造りのため寒いですが、一般的なロッジでは、個室には暖房器具がありません。イエティマウンテンホームなど、1泊100ドル程度の高級ロッジでは置いてあることが多いです。窓は4,000m以上の新しいロッジでは二重サッシになっているところもありますが、それでも外気温が-10度を下回ると、窓際に置いた水が凍ってしまいますので、寝袋に入れて寝る必要があります。

布団はブランケット1枚。当然、それだけでは寒いので寝袋を広げます。それでも寒い時は追加のブランケットを依頼するともらえます。

壁や天井は薄く、隣の部屋の話し声や上階の足音はよく聞こえます。睡眠時などは耳栓が必須となりますので忘れずにお持ちください。

<トイレ>
トイレは、新しいロッジでは水栓の共同トイレであることが多いです。ロッジによってアタッチメントルーム(部屋にトイレ&シャワー付き)にアップグレードすることも出来ます(ロッジによって1泊2000〜4000円の追加オプション)。

ただし、古いロッジで部屋にトイレがついていると、トイレの臭いで逆に不快になってしまったり、シャワーの水量が弱く結局共同のホットシャワーを利用するということも少なくありませんのでご注意ください。

<ホットシャワー>
ホットシャワーを利用する際はガスかソーラーか確認しましょう。ガスであればほぼ無制限に利用出来ますが、ソーラーの場合はお湯が有限です。悪天候が続いていたり、他の宿泊客がたくさん利用してしまうと自分の番でお湯が十分に出ない可能性がありますので、ソーラーの場合は出来るだけ早めに浴びるようにしましょう。

ガスとソーラーでお湯の温度自体は変わらず、どちらも熱々のお湯が出ます。ただし、お湯が出るまでに時間がかかったり、上記の理由で熱いお湯が出ないこともありますので、使用前に必ず熱いお湯が出ることを実際に出して確認してください。

シャワールーム自体は非常に寒く、ロッジによっては除湿のために窓を開けなければならないので、服を着る前に身体が冷えてしまうこともあります。また、脱衣所はなく、シャワールームで衣類の着脱や身体を拭かなければなりません。荷物をかけるフックがあったり、置く棚があったりしますが、いずれにせよ防水性のある袋に入れましょう。

シャンプーやリンス、石鹸はありませんので、各自でお持ちください。日本の山小屋のような利用制限はありません。

ダイニング
ロッジでの食事は、ダイニングでお好きなものをオーダーしてお召し上がりください。ほぼ全てのロッジで9割以上は共通のメニューとなりますが、人気のないロッジやローシーズンでは肉類の在庫がなく、オーダーできるメニューが限られてしまったり、コック常駐のロッジでないと料理の質が少し下がってしまいます。ロッジでオーダーできるメニューやオススメは別記事でご案内させて頂きます。

ダイニングには唯一の暖房器具であるストーブが設置されています。標高4,000mまでは木、4,000m以上ではヤクの糞が燃料として使われます。ヤクの糞は全く臭いがしません。燃料は貴重なので、朝6時〜、夕方17時頃から火が入ります。特に夕方は寒いので、どうしても早めに火が欲しい場合は500Rs〜1000Rs程度を支払って火を入れてもらいましょう。夕方の日は夜20時半頃に消えます。

その後、ダイニングはシェルパさん達の寝室となりますので、20時半〜21時には解散して個室に戻るようにしましょう。

<充電>
ルートの人気度によって充電が無料であったり有料となったりします。ロッジにもよりますが、エベレスト街道は基本的に有料、アンナプルナ内院は有料が多く、アンナプルナ外周やランタン谷は無料が多いです。他のエリアは大体無料です。

有料サービスとなっているところは、スマートフォンが500Rs、モバイルバッテリー(現地ではパワーバンクと呼びます)が1000Rs程度。いずれもダイニングのカウンターで預かり、そこにあるコンセントで充電されます。充電ケーブルは各自持参となります。ロッジによっては、人の手の届く場所で充電されますので、基本的には大容量のモバイルバッテリーを充電してもらい、スマートフォンへは部屋でモバイルバッテリーから給電することをオススメします。

先にも記載しましたが、部屋にコンセントがあるロッジは稀です。

<インターネット>
エリアによって異なりますが、開けた場所では日本でいうDocomoやauといった通信会社であるNcellやNTCの電波が利用出来ます。

エベレスト街道でいうと、ルクラからパンボチェの間は谷間となっていて電波が弱いですが、ナムチェバザールは4G。テンボチェ、パンボチェも電波は弱いですが利用可能。その先は圏外となりますが、エベレストBCの奥では一部利用出来るところがあります。

それ以外の場所では、ロッジのWifiサービスを利用します。
2021年まではEverest Linkというサービスが主流で、2000Rsで10GBもしくは700Rsで1GBのカードを購入すると、上限までどこのロッジでも利用できるというものでしたが、2022年に500Rsで24h無制限のNew Linkというサービスがシェアを拡大し、費用対効果が大幅に悪化しました。New Linkはロッジへのバックフィーが圧倒的に良く、料金の50%がロッジに還元されるという仕組みのため、現在ではEverest Linkを利用できるロッジが少なくなってしまいました(サービス自体は行っていても電波が弱い)。

ということで、2023年以降のインターネット料金は、500Rs/日と考えておいた方がよいです。

<洗濯>
洗濯はロッジに依頼する方法と自分で洗う方法があります。

ロッジに依頼する場合は、靴下100Rs、パンツ100Rs、Tシャツ200Rs、トレッキングパンツ300Rsといった相場になります。依頼すると、洗濯をして物干しにかけ、乾いたら取り込んでもらえますが、2日間滞在する日でない限りは乾きません。半乾きのものを翌日のロッジに持って行って干すか、靴下などはザックにかけて歩くということになります。

自分で洗う場合は、ロッジの外にある水場を利用させてもらいます。大きなタライを借りることもできますが、水が冷たいので、ドライザックの中に洗濯物と洗剤を入れて洗う方法をおすすめします。
絞る際は、速乾性の高いバスタオルに巻いて絞ると乾きが早くなります。さらに、靴下やパンツなどはダウンパンツのポケットに入れたり、ダイニングの暖炉周りの椅子に干します。それでも乾かない場合は、就寝時に寝袋の中(出来れば衣類の中)に入れると大体乾きます。

ロッジ到着〜翌朝出発の流れ

<15:00>
ロッジに到着したら、まずはダイニングで飲み物を飲んで休憩しましょう。ジンジャーハニーレモンやホットチョコレートなどがオススメです。

<15:30>
休憩後は、自身のダッフルバッグを部屋に運び入れます。廊下にグループのダッフルバッグがまとめて置かれているので、自身のものと分かるように印をつけておくと良いですね。

部屋で荷物を広げたら、まず最初に寝袋をベッドに広げましょう。寝袋は含まらまないと暖かくならないですし、大きいので、先に広げることで荷物の整理がしやすくなります。

次に、デオドラントペーパーで汗を拭き着替えをしてしまいます。散歩の後などは気温が下がってしまいますので、出来るだけ暖かい内にロッジ用の衣類に着替えた方が良いです。着替えた時にロッジ用の衣類のポケットにヘッドライトを入れておいてください。散歩の後、夕方のロッジの階段や廊下が暗いことがあるので、このタイミングでポケットに入れる習慣をつけると安心です。

この時、絶対に横になっては行けません。ロッジ到着後に横になる行為は高山病リスクが極めて高いです。

<16:00>
洗濯をする場合は、着替えた後にすぐに洗濯をしてしまいます。ドライバッグに洗濯物と洗剤を入れて、水場の場所を確認します。ドライバッグに水を入れて5分程度置いたらもみ洗いをします。その後、3〜5回ほど水を変えてすすぎを行えば洗濯は完了。少しは洗剤が残るかと思いますが我慢です。ロッジには物干しスペースがありますので、そちらにドライバッグごと持って行って、絞ります。一度絞ってから、速乾タオルでさらにもう一絞りしてから干しましょう。洗濯バサミがあるところとないところがありますので、10個くらい持って行った方が良いです。パンツや靴下は日の当たる場所に置いて、重しの石を上から置くだけでも乾きます。

洗濯が終わったら、夕食のオーダーをします。基本的には16時前にはオーダーを完了しましょう。

<17:00>
時間に余裕がある時は、天気にもよりますが散歩に出かけます。村の散策をして、現地の暮らしを垣間みたり、近くの展望ポイントまで足を運ぶのも良いでしょう。息が乱れないように、深い呼吸をしながらゆったりとしたペースで歩き、しっかり水を飲むことで高度順化を促しましょう。

<19:00>
夕食は18〜19時頃になります。夕食の前までは絶対に寝ないように、しっかり水分補給をして、会話をしながら呼吸することを意識してください。夕食の前はパルスオキシメーターでSPO2を測定します。高山病対策の記事に記載している水準と見比べて、高度順化の状況を確認してください。

<20:00>
夕食後は翌朝の食事をオーダーし、歯磨きや洗顔をして早めに就寝してください。高山病対策のために、水分補給を増やし、ダイアモクスを服用していると、夜にトイレに行く回数が増えます。また、朝方には出発の早いグループの足音が響きます。周りの人の動きで目が覚めないよう必ず耳栓とアイマスクをして眠るようにしましょう。
また、夜にトイレに行く際に手間取らないよう、ヘッドライトはポケットもしくは枕元に置いておいてください。

<翌5:00>
翌朝、朝食は6時半〜7時頃にオーダーするので、その前までに荷物をまとめて出発の準備をした上でダイニングに行きます。6時頃にガイドが各部屋を回りますので、寝袋をしまうのが苦手な方はその時に依頼してください(高所で寝起きで寝袋を詰めるのは何気にしんどいです)。
荷物は鍵をかけて部屋の中に置いておくと、ポーターさんが回収して運んでくれます。

<6:30>
朝食の前もパルスオキシメーターでSPO2を計測しますが、指が冷えていると正しい数値が出ません。しっかりと温めてから計測するようにしましょう。
基本的にロッジの食事は量が多いので、多い分はロッジに依頼するとアルミホイルなどに包んでもらうことが出来ます。行動食などにしてこまめにエネルギー補給をしましょう。
また、高山病対策のために500ml程度の目標に水分補給をすることをお勧めします。トイレが心配な方は少し早めにダイニングに来て、朝食前に水分補給をしておきましょう。

<7:00>
軽く準備運動をしてからいざ出発!大きく深い呼吸をしながらゆっくり歩き始めましょう。

ロッジでの注意事項

① 体調管理を徹底しよう
兎にも角にも、体調管理をしっかりしましょう。特にトレッキング中は疲労やストレスが溜まりがちで栄養バランスも崩れて体の免疫力が低下します。手洗い、うがい、手指の消毒、乾燥対策のマスク着用を徹底しましょう。ちなみに、マスクは呼吸が苦しくないようウレタンのマスクを用意すること!

② 防寒対策を徹底しよう
日光がなく、行動による発熱もなく、夜から朝にかけて冷え込む石造りのロッジ内は非常に寒いです。昼間はTシャツ一枚で歩けても、夜はダウンジャケットが必須。特にシャワーの後など、身体を冷やさないように防寒対策を徹底しましょう。ロッジ用に厚いタイツ上下とダウンジャケット、ダウンパンツを用意することをお勧めします。

③ 睡眠の質をあげよう
高山病対策や疲労を蓄積しないためにも睡眠は非常に重要。ロッジは音や光で眠りが妨げられることのないよう、耳栓とアイマスクを必ず着用しましょう。また、癒しの音楽などを聞くことでも睡眠の質を高めることが出来ます。睡眠導入剤は高山病のリスクが上がるため絶対に使用しないでください。
また、寝る直前に水分を取りすぎてしまうとどうしてもトイレの回数が増えてしまうため、夕食の前、夕食時にしっかり水分補給をして、就寝前の水分補給は控えましょう。*1日を通じて水分補給が不足している場合は寝る前であっても補給を優先します。

どうしても眠れない場合、ベッドで横になり、脱力し、秒数を数えながら5秒吐いて5秒吸うという深い呼吸をします。それだけでも身体と脳が休まりますので、「眠れない、どうしよう・・・」と不安になる必要はありません。6,000m以上の登山でテントで眠れない場合などもこの手法が有効です。

④ 栄養をしっかり摂ろう
疲労や食が合わないことで栄養が十分に取れないと、歩き続けることは出来ません。別記事で食事についてまとめていますので、しっかりと栄養補給をするようにしましょう。また、基本的には栄養バランスの良い食事を摂取することが望ましいのですが、トレッキング中は栄養バランスが崩れてしまいがちです。
ダルバートが好きな方は1日1食はダルバートをオーダーするようにしましょう。ダルバートのダルの原料はレンズ豆なのでタンパク質が豊富。付け合わせのサグ(緑菜)はミネラルやビタミンが豊富。辛いものが得意な方は一緒にアチャール(漬物)を食べると、血液をサラサラにするとともに、食べ物の消化吸収を助ける役割も担ってくれます。サグをおかわりして食べると非常に栄養バランスの取れた食事になります。その他、野菜たっぷりのシェルパシチューもお勧めですね。
どうしても食欲がなく、お粥やトゥクパ(うどん)が中心になってしまう場合は、栄養補助食品(サプリメントなど)で補いましょう。念の為、マルチビタミン、プロテイン(出来ればアミノ酸)を持っていくと良いです。

⑤ 医薬品はしっかり準備しよう
風邪薬、胃腸薬、下痢止め、頭痛薬は必須。カトマンズや現地でも購入できますが、用法や容量が分からないこともあるので、出来れば日本で使い慣れた常備薬を持っていきましょう。ダイアモクス(高山病薬)は現地で取得した方がはるかに安価です。
また、圧倒的に乾燥や埃、冷たい空気によって喉を痛めてしまうことが非常に多いので、のどの薬やのど飴は大量に持っていくことをお勧めします。

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